ひふみ投信は終わった?投資信託の悪い評判と今後の見通し

探偵

独自の運用方針で日本の成長株に投資し、長年好成績を残してきた事で知名度の高い「ひふみ投信」。姉妹商品として「ひふみプラス」や「ひふみ年金」なども展開し、日本を代表するアクティブファンドとして人気があります。

しかし、ここ数年のひふみ投信は成績が伸び悩み「終わった」という評判も。特に、ファンドマネジャーの藤野英人氏がいったん現場を離れてから成績が振るわず、復帰後の現在も勢いを取り戻せていません。

この記事では、ひふみ投信の組み入れ銘柄・基準価格の推移・評判などを紹介。「終わった」と言われる理由と今後の見通しを解説します。

【結論】ひふみ投信は終わった?今後の見通しは?

結論から言うと、ひふみ投信の今後の見通しはあまり良くありません。「終わった」などという評判が出回っているのには理由があります。

ひふみ投信は日本株中心のアクティブファンドとして人気がありましたが、ここ数年は成績が伸び悩み中。以下は、日経平均のインデックスファンドの平均年リターンと比較したものです。

1年3年5年10年
ひふみ投信-2.61%+9.74%+8.03%+8.49%
インデックスファンド225(日興アセット)+0.29%+13.62%+13.53%+7.92%
引用:日本経済新聞

過去10年の年平均リターンを見ると、ひふみ投信が「+8.49%」、インデックスファンドが「+8.09%」となっており、ひふみ投信の成績が上回っています。ところが、過去1~5年の成績を見ると、明らかにインデックスファンドに負けている……

ちなみに、設定来の総合リターンを比較すると以下の通り。

設定日設定来総合リターン
ひふみ投信2008年10月+624.63%
インデックスファンド225(日興アセット)2001年10月+368.09%
引用:日本経済新聞

こうして並べると、ひふみ投信がインデックスファンドを大きく上回る成果を短期間に出していた事が分かります。日本を代表するアクティブファンドとして評価されていたのも頷けますね。

それなのに、なぜ現在成績が悪くなっているのか?色々と原因は考えられますが、今後の見通しを考える上での重要なポイントとして、運用体制の問題を挙げようと思います。

ひふみ投信の現在のファンドマネジャーは「藤野英人」氏ですが、2022年4月に1度ひふみ投信のファンドマネジャーを退任。ところが、2023年1月に「ひふみを応援いただいたお客様の信頼を回復しご期待に応える」ために早くも復帰しています。

藤野英人の声明
藤野英人の声明

確かにアクティブファンドは大なり小なりファンドマネジャー次第で成績が変わるものですが、それにしても早すぎる復帰です。ひふみ投信は運用チームの中でノウハウが全く共有されていないのでは?

たった9ヶ月で復帰しないと信頼が損なわれるという事から、ひふみ投信が藤野氏の手腕や知名度に大きく依存している属人性の高いファンドという事が分かるでしょう。要するに、藤野氏がいなければ大した価値の無いファンドなのです。

属人性の高いひふみ投信が30年・40年と保有し続ける投資信託として向いていない事は明白。例えば藤野氏が病気などでファンドマネジャーを引退せざるを得なくなった途端、成績が右肩下がりになる可能性が高いからです。

また、たとえノウハウが共有されていても、藤野氏がファンドマネジャーを務めないと信頼性が保てない状況が続くのであれば、当然引退と同時に右肩下がりになる事が予想されます。

他の問題点は後述しますが、いずれにしてもひふみ投信が藤野氏の存在に依存している限り、今後の見通しはあまり良くないと言って良いでしょう。一応まだ「終わった」わけではありませんが、優れた後継者が出てこない限り終わりに向かうのは確実です。

ひふみ投信とは?

ひふみ投信のロゴ
ひふみ投信のロゴ
ファンド名称ひふみ投信
設定日2008年10月1日
ファンドタイプアクティブファンド
基準価額7万2,494円
(2025年6月20日時点)
信託報酬年率1.0780%
決算日9月末日
純資産総額1,685億6,800万円
(2025年6月20日時点)
NISA対応成長投資枠
つみたて投資枠
投資対象ひふみ投信マザーファンド
資産クラス国内外の上場株式
ひふみ投信の概要

ひふみ投信は2008年設定のアクティブファンド。ひふみ投信マザーファンドを通じて国内外の上場株式に投資を行っていますが、2025年6月時点では日本株の組み入れ比率が85.59%・海外株が2.87%・現金が11.54%となっており、日本株中心のファンドとなっています。

アクティブファンドなので信託報酬は年率1.0780%と比較的高め。一方で、NISAのつみたて投資枠にも対応しており、根強い人気のある投資信託です。

なお、ひふみ投信には姉妹商品として「ひふみプラス」「ひふみ年金」がありますが、これらは投資方針や組み入れ銘柄は変わりません。ただし、販売方法・純資産額・信託報酬などに違いがあります。

ファンド名販売方法信託報酬基準価額
2025年6月20日
純資産額
2025年6月20日
ひふみ投信レオスキャピタルワークスからの直販年率1.0780%7万2,494円1,685億6,800万円
ひふみプラス証券会社などを通じて購入年率1.0780%5万9,879円5,644億3400万円
ひふみ年金iDeCoで購入年率0.836%2万2,083円853億8700万円
ひふみのラインナップ

信託報酬は基本的にひふみ年金が年率0.836%と多少安いくらいで、ひふみ投信とひふみプラスは基本的に変わりません。

ただし、ひふみプラスは信託報酬と別に購入時手数料最大3.3%が掛かるため、注意が必要です。

運用は「レオスキャピタルワークス」

ひふみ投信の運用は「レオスキャピタルワークス」が行っています。

レオス・キャピタルワークスのロゴ
レオスキャピタルワークスのロゴ
会社名レオスキャピタルワークス株式会社
所在地東京都千代田区丸の内1-11-1-27F
設立2003年4月16日
代表取締役藤野 英人
資本金3億2,200万円
(2025年3月末現在)
運用資産残高1兆1,436億6,000万円
(2025年3月末現在)
事業内容投資運用業投資助言・代理業第二種金融商品取引業
資格関東財務局長(金商)第1151号
加入協会一般社団法人 日本投資顧問業協会
一般社団法人 投資信託協会
一般社団法人 Fintech協会
一般社団法人 ファイナンシャル・ アドバイザー協会
レオスキャピタルワークスの概要

レオスキャピタルワークスは2003年創業の投資運用業者。代表の藤野英人氏によって「国民的な投資信託」を目指して設立されました。

2008年にひふみ投信の販売を開始して以来、リーマンショック等の影響で藤野氏が代表を辞任するなどの波乱はあったものの着実に成長。中・小型株に強いアクティブファンドとして注目を集めます。

2017年にはテレビ番組「カンブリア宮殿」に藤野氏が出演し、純資産総額を倍々ゲームで増やしている投資信託としてひふみ投信を紹介。これをきっかけに純資産総額を大きく増やしています。

ひふみ投信の純資産総額推移
ひふみ投信の純資産総額推移

もっとも、純資産総額が増えるのに比例してパフォーマンスは下がっている傾向。これは資産が増えて中・小型株に投資しにくくなった事が原因と考えられますが、藤野氏自身はこの説を否定しています。

それよりも、藤野氏のメディア出演がきっかけで純資産が増えた事の方が問題。「この社長のファンドなら信頼できる!」というカリスマ性に幻惑された人が投資している可能性が高く、現在のひふみ投信が抱える属人性の問題に繋がっていると思われます。

代表兼ファンドマネジャー「藤野英人」

レオスキャピタルワークスの代表であり、ひふみ投信のファンドマネジャーを務める「藤野英人」氏は、投資歴30年以上のベテラン投資家。

早稲田大学法学部を卒業後に野村投資顧問(現在の野村アセットマネジメント)に就職して以来、長年資産運用に携わり続けている人物です。

藤野英人の画像
藤野英人の画像

野村投資顧問を退職後はジャーディンフレミング(現在のJPモルガン・アセット・マネジメント)など外資系の運用会社を渡り歩き、「カリスマファンドマネジャー」などと呼ばれた事も。2003年には「国民的な投資信託」を目指して「レオスキャピタルワークス」を設立します。

2008年にはひふみ投信の販売を開始。しかし、直後の2009年はリーマンショックの影響を受けて業績が赤字に。責任を取って代表を辞任しひふみ投信の運用に注力します。

その甲斐あってか、ひふみ投信は2013年~2016年にかけて倍々ゲームで資産を増やし、2015年には藤野氏が代表に復帰。2017年にテレビ出演を果たした時には「無名会社」への投資によって驚異的な成績を出したカリスマファンドマネジャーとして紹介されます。

ただ、現在のひふみ投信は既に述べた通り成長が伸び悩んでいるところ。藤野氏の手腕が増々注目される状況ですが……見通しは危うい印象です。

代表的な組入銘柄は大型株ばかり

ひふみ投信は2017年頃から大型株への投資を増加。

2025年6月現在の組み入れ銘柄上位は以下になっています。

銘柄割合
フジ・メディア・ホールディングス4.01%
ソニーグループ3.72%
日立製作所2.59%
富士通2.46%
日本電気2.19%
アシックス2.10%
東京海上ホールディングス2.07%
川崎重工業1.87%
三菱地所1.66%
鹿島建設1.63%
上位の組み入れ銘柄

見ての通り、上位組入れ銘柄は大型株ばかり。中・小型株で利益を出してきたアクティブファンドというイメージは、もはや過去となったようです

気になるのは、大ニュースになった「フジ・メディア・ホールディングス」。現在レオスキャピタルワークスはフジの大株主となり、経営の立て直しに積極的に参画しています。

組み入れ比率も4%超とかなりのものなので、この投資が失敗するとひふみ投信が大きくパフォーマンスを落とす可能性も。まさに今が正念場かもしれません。

基準価額の推移は右肩上がりだが…

ひふみ投信の基準価額チャート
基準価額のチャート

赤い線が基準価額、灰色の線が純資産額です。基本的に右肩上がりですが、直近は純資産額の伸びが鈍化してます

特に、藤野英人氏がファンドマネジャーから退いていた2022年は基準価額も純資産額もずっと横這い。藤野氏がマネジャーに復帰したのももっともです。

藤野氏復帰後は再び成長しているように見えますが、既に紹介した通り日経平均インデックスファンドに比べてリターンは低い状況。今後アクティブファンドとして高リターンを維持できるか危ぶまれています。

手数料

ひふみ投信は手数料として「年率1.0780%」の信託報酬を信託財産から差し引いています。その他の手数料は特にありません。

ただし、既に述べた通り証券会社で買えるひふみプラスでは販売手数料最大3.3%が掛かります。ひふみ投信に比べて手数料合計はかなり高いので注意してください。

なお、ひふみ投信は長期保有者向けに「資産形成応援団」という還元サービスを提供しており、保有期間に応じて以下の還元率でひふみ投信をプレゼントして貰えます。

保有期間還元率
5年以上0.2%
10年以上0.4%
資産形成応援団の内容

例えば、ひふみ投信100万円を10年以上保有している人であれば、毎年4,000円分のひふみ投信を受け取れます。

注意点として、現金で還元してくれるわけではありません。また、信託報酬自体が割り引かれる事もありません。あくまでも追加でひふみ投信を購入してくれるだけですので注意してください。

購入方法・解約方法

ひふみ投信はレオスキャピタルワークスからの直販です。購入するには公式サイトから申し込む必要があります。

まずはレオスキャピタルワークスに口座を開設。口座開設は以下の3ステップで行えます。

  1. メールアドレス入力
  2. お客様情報入力
  3. 本人確認書類の提出
レオスキャピタルワークスへの口座開設方法
口座開設画面

口座開設後はマイページから購入手続きを行います。

購入方法は次の2種類。

  • スポット購入
  • つみたて購入

購入は1,000円以上1円単位で可能。スポット購入は指定口座に入金する必要がありますが、つみたて購入では保有している金融機関の口座から自動引き落としが利用できます。

解約もマイページから申し込み可能です。

ひふみ投信の解約方法
ひふみ投信の解約方法

全口数解約のほか、一部解約や月々取り崩す定期解約が利用可能。

通常の投資信託と同様に利用できます。

ひふみプラスは金融機関で購入可能

証券会社などの金融機関でひふみ投信は販売していません。その代わり、投資方針が同様の「ひふみプラス」を購入できます。

対応している銀行を見ると、都市銀行は三菱UFJ銀行くらいで、後は北洋銀行・栃木銀行・福岡銀行などの地方銀行が多め。一方、証券会社はSMBC日興証券や楽天証券など、主要な企業で購入できます。

詳しくはひふみプラスの公式サイトを確認してください。

ひふみ投信の評判

ひふみ投信はどのような評判になっているでしょうか?

ここでは、ひふみ投信の評判について、良い口コミと悪い口コミに分けて紹介します。

良い口コミ

良い口コミで多いのは、ファンドマネジャーの藤野英人氏の考え方に対する共感の声です。

彼に賛同している人がひふみ投信を購入しているように見受けられました。

その他、フジメディアホールディングスに投資した事も、賛否両論あれどアクティブファンドらしいと評判です。

また、最近の見通しが効かない相場にあって現金保有比率を高めている事を評価する声も。

ただし、現金比率を増やしている事には賛否両論があります。

悪い口コミ

悪い口コミでは、現金比率を増やすと投資している意味が無いのでは、という意見が直近で増えているようでした。

確かに、現金で余らせておくならひふみ投信を購入せずに貯金しているのと同じですからね。

リスク管理をしてくれていると言えばそうでしょうが……高い信託報酬も取られるから、不満を持つ人も多くなるでしょう。

中には、以前は人気だったひふみ投信の成績が悪くなっている事を嘆く声も

ここ数年はインデックスファンドを下回る悪い成績しか残せていないですし、ひふみ投信が落ち目のファンドになっている事は確かでしょう。

もちろん今後立て直す可能性もありますが、投資には慎重になる事をおすすめします。

ひふみ投信と他の投資信託を比較

ひふみ投信と同様に、国内株を中心に投資しているファンドの中から、NISAのつみたて投資枠に対応したものを選んで比較します。

eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)

eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)は、TOPIXに連動するような運用成績を目指すインデックスファンド。

ひふみ投信との比較は以下の通り。

ひふみ投信eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
設定日2008年10月1日2017年2月27日
ファンドタイプアクティブファンドインデックスファンド
基準価額7万2,494円
※2025年6月20日
21,575円
※2025年6月20日
信託報酬年率1.0780%年率0.143%
決算日9月末日4月25日
純資産総額1,685億6,800万円
※2025年6月20日
3,028億円
※2025年6月20日
NISA対応成長投資枠
つみたて投資枠
成長投資枠
つみたて投資枠
投資対象ひふみ投信マザーファンドTOPIXマザーファンド
資産クラス国内外の上場株式国内株式
参考:日本経済新聞

最大の違いはやはり信託報酬の金額。ひふみ投信が1%を超えている一方で、eMAXIS Slimは年率0.143%と非常に安くなっています。

気になる年率平均リターンは以下の通り。

1年3年5年10年
ひふみ投信-2.61%+9.74%+8.03%+8.49%
eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)+3.46%+16.28%+14.94%
参考:日本経済新聞

eMAXIS Slimは2017年設定なので10年以上の年率平均リターンは分かりません。ただ、直近1年~5年のリターンはひふみ投信を大きく上回っています

高い信託報酬を払ってインデックスファンドより成績が悪いのだから、ひふみ投信が「終わった」と言われるのも無理ないですよねぇ……

もちろん、ひふみ投信が今後成績を伸ばしたり、損失を抑えたりする可能性はありますが、少なくとも現時点ではあまり期待できないでしょう。

日経平均高配当利回り株ファンド

日経平均高配当利回り株ファンドは、ひふみ投信と同じNISAで購入できる日本株中心のアクティブファンド。日経平均株価採用銘柄の中から利回りの高い上位30銘柄に投資しています。

ひふみ投信との比較は以下の通り。

ひふみ投信日経平均高配当利回り株ファンド
設定日2008年10月1日2018年11月9日
ファンドタイプアクティブファンドアクティブファンド
基準価額7万2,494円
※2025年6月20日
1万6,853円
※2025年6月20日
信託報酬年率1.0780%年率0.693 %
決算日9月末日6月15日12月15日
純資産総額1,685億6,800万円
※2025年6月20日
1,820億円
※2025年6月20日
NISA対応成長投資枠
つみたて投資枠
成長投資枠
つみたて投資枠
投資対象ひふみ投信マザーファンド日経平均株価採用銘柄の利回りの高い上位30銘柄
資産クラス国内外の上場株式国内株式
参考:日本経済新聞

信託報酬は日経平均高配当利回り株ファンドの方が年率0.693 %と安くなっています。

年平均リターンは以下の通り。

1年3年5年10年
ひふみ投信-2.61%+9.74%+8.03%+8.49%
日経平均高配当利回り株ファンド-5.81%+21.73%+22.11%
参考:日本経済新聞

日経平均高配当利回り株ファンドは過去3年、過去5年ではひふみ投信を大きく超えるパフォーマンスを残しています。しかし、この1年の成績はひふみ投信を下回っており、かなりリスクの高いファンドです

ただ、どちらも直近成績がマイナスなのは変わりません。経済の先行きが不透明な現在において、アクティブファンドに投資するのは控えた方が良いのかもしれませんね。

公式サイトを見る

ひふみ投信は終わった?投資信託の悪い評判と今後の見通しの口コミ

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