キャピタル世界株式ファンドとは?”やめとけ”と評判が出る理由

探偵

アメリカの歴史ある金融サービス会社、「キャピタル・グループ」が運用するキャピタル世界株式ファンド

2007年に設定されて以来、各所で紹介され人気の高いアクティブファンドですが、ネット上では「やめとけ」という声も聞かれます。なぜでしょうか?

この記事では、キャピタル世界株式ファンドの特徴や利回り、SNSの評判などを紹介し、今後も投資を続けるべきか、やめた方がいいかについて考えます。

キャピタル世界株式ファンドとは?

キャピタル世界株式ファンドは、全世界の株式に分散投資できるのが強み。NISAで購入可能なおすすめ投資信託として紹介されるため、名前を聞いた事のある人は多いでしょう。

まずは、キャピタル世界株式ファンドの運営会社やサービス概要、手数料などを詳しく解説します。

運営はキャピタル・インターナショナル株式会社

キャピタル世界株式ファンドの運営「キャピタル・インターナショナル株式会社」公式サイト
「キャピタル・インターナショナル株式会社」公式サイト

キャピタル世界株式ファンドを運用しているのは、「キャピタル・インターナショナル株式会社」です。同会社の詳細は以下の通り。

会社名キャピタル・インターナショナル株式会社
所在地〒100-0005
東京都千代田区丸の内3-2-3
丸の内二重橋ビル19階
設立1986年
代表取締役小泉徹也
資本金4億5,000万円
運用資産残高2兆2,750億円
(一任契約、助言契約、国内投資信託残高を含む)
事業内容証券投資信託の委託業務
有価証券に関する投資一任業務
投資顧問業務
資格金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第317号
加入協会一般社団法人投資信託協会会員
一般社団法人日本投資顧問業協会会員

キャピタル・インターナショナル株式会社は、アメリカの資産運用会社「キャピタル・グループ」の日本法人。世界恐慌期の1931年に創業した歴史ある会社で、世界的な信用があります。

キャピタル・グループの強みは、徹底したファンダメンタルズ分析。2023年には2万回以上の企業面談を実施し、長期的な視点で価値を生む企業への投資を行っているとのこと。

1950年代という早い段階からグローバル投資を行い、1965年にはMSCI指数の元となる株価指数を開発。これは現在、様々なインデックスファンドのベンチマークとして活用されており、キャピタル・グループの影響力の大きさが窺われます。

サービス概要や手数料

キャピタル世界株式ファンドの概要は以下の通り(2024年12月2日時点)。

ファンド名称キャピタル世界株式ファンド
設定日2007年10月29日
ファンドタイプアクティブファンド
手数料信託報酬:年率1.701%
販売手数料:3.30%
決算日8月20日
純資産総額7590億4000万円
NISA対応成長投資枠
資産クラス世界各国の株式日本短期債券

2007年10月29日設定という、息の長い投資信託。投資対象は、キャピタル・グループが運用するルクセンブルク籍の円建て投資信託「ニューパースペクティブ・ファンド」で、世界中の株式に投資を行います。日本短期債券ファンドも投資対象ですが、2024年9月30日時点での投資比率は0%とのこと。

お手軽に世界中の株式に投資できるキャピタル世界株式ファンドですが、大きな問題は手数料の高さ。信託報酬だけで1.701%も取られる上に、販売手数料が3.30%も掛かります。手数料だけで合計5%も取られるのはなかなかキツイ……。

NISAへの対応も弱点。購入できるのは成長投資枠のみで、つみたて投資はできません。原因は3.30%という販売手数料の高さ。つみたて投資枠の商品は、販売手数料が原則無料でなくてはならないからです(ETFは1.25%以下)。

さらに、パフォーマンスも、NISAで人気の世界株式系インデックスファンドとあまり変わりません。後で詳しく比較しますが、信託報酬の分だけパフォーマンスが落ちているようにも見えます。

手数料が異次元に安いインデックスファンドが登場した現在、キャピタル世界株式ファンドは無駄に手数料を取られるだけの時代遅れファンドになりつつあるのかもしれません……。

ただし、20年近く運用しているファンドなので実績と信頼性は確かなものです。

また、ベンチマークを設定せずファンダメンタルズ分析で投資銘柄を決めるため、相場変動にも柔軟に対応できるはず。こういったメリットが手数料のデメリットを上回っていると考えるなら、選択肢に入ってくるでしょう。

ちなみに、キャピタル世界株式ファンドは細かなニーズに応えるために、2018年11月新たに以下3つのファンドを追加しました。

  • キャピタル世界株式ファンド(限定為替ヘッジ)
    →主要通貨建の資産のみ円買いの為替取引を行い為替変動リスクを低減。主要通貨建以外の資産はヘッジ取引を行わない
  • キャピタル世界株式ファンド年2回決算(分配重視)
    →2月20日と8月20日の年2回決算で分配を重視。分配金額は決算時の基準価額に対して2.5%を上限に支払うことを目標とする
  • キャピタル世界株式ファンド年2回決算(分配重視/限定為替ヘッジ)
    →限定的な為替ヘッジを行いつつ分配を重視するファンド。上記2ファンドの特徴を兼ね備えたもの。

為替ヘッジを行うか、分配金を貰えるかという違いはありますが、基本的な運用方針は同じです。上記のようなニーズがない場合は、スタンダードな「キャピタル世界株式ファンド」を選べば良いでしょう。

最後に補足として、キャピタル世界株式ファンドには長期投資向けの「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」という商品もあります。これなら手数料無料でNISAのつみたて投資枠で購入できるため、積立投資をしたい人はこちらがおすすめです。

運用実績や利回り

キャピタル世界株式ファンドは世界中の株式に投資していますが、中心は米国株です。2024年9月末時点での投資比率上位銘柄は以下の通り。

銘柄名業種投資比率
メタ・プラットフォームズ米国コミュニケーション・サービス3.65%
マイクロソフト米国情報技術3.32%
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング台湾情報技術3.11%
ブロードコム米国情報技術2.73%
ノボ ノルディスクデンマークヘルスケア2.66%
テスラ米国一般消費財・サービス2.00%
エヌビディア米国情報技術1.96%
アルファベット米国コミュニケーション・サービス1.78%
アストラゼネカ英国ヘルスケア1.69%
イーライリリー米国ヘルスケア1.50%

情報技術関連やヘルスケア関連の銘柄が多く、ほとんどがアメリカ企業となっています。ただ、台湾の半導体企業やデンマークのヘルスケア企業もランクインしており、グローバル視点も備えている様子。

興味深いのはテスラで、2024年3月時点でトップ10から外れていたのですが、9月に入って再び6位に上昇。実際、大統領選後、テスラの株価は急上昇しており、キャピタル・グループの調査力が窺われます。

このように、グローバルな視点を持ちつつ、米国株中心の投資によってキャピタル世界株式ファンドは着実に実績を出しています。期間ごとのリターンは以下の通り(2024年12月2日時点)。

期間リターン
3ヶ月+4.70% 
6ヶ月+3.46% 
1年+24.60%
3年+43.06%
5年+128.43% 
10年+201.18%
設定来+218.23%

ここ10年で約+200%という好成績。この1年でも24.60%という高利回りを実現しており、実力は確かなものでしょう。

手数料が高いなど問題点はあるものの、利回りは優れているので、NISAの成長投資枠などで買ってみるのはアリかもしれません。

ただ、補足的に紹介しておくと、手数料無料の「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」のパフォーマンスは5年で+132.78%、設定来の約8年半で+250.20%となっています。

やはり、手数料分だけパフォーマンスが悪くなっているような……。

キャピタル世界株式ファンドの評判

キャピタル世界株式ファンドは、現在流行りのインデックスファンドが登場する以前からあったためか、評判は賛否両論です。

ここでは、SNSでの口コミからどのような評判になっているか紹介します。

良い口コミ|独自性を評価

キャピタル世界株式ファンドの良い評判では、運用方針の独自性が評価されている模様。コスト控除後でもインデックスに勝てているという口コミもあり、評価する人は多いです。

積立期間が長いほどオルカンを上回るパフォーマンスになっていると評価する人もいて、まさにアクティブファンドの鑑といったところ。

オルカンとのパフォーマンス比較については後述しますが、少なくとも過去5年のリターンではまだオルカンに負けています。

しかし、キャピタル世界株式ファンドは長期的な投資に強い投資信託。10年、20年と運用し続ければ、インデックスを上回る成果が得られるかもしれません。

悪い口コミ|手数料が高い

一方、悪い口コミではやはり手数料の高さがネックになっている様子。信託報酬はもちろん、購入手数料も掛かるため”ぼったくり”と評価する声さえ見られました。

キャピタル世界株式ファンドは2007年から運用を開始している投資信託であるため、投資歴の長い人にとっては馴染み深い商品なのかもしれません。

しかし、インデックスファンドを知っている若い世代にとっては、手数料が高すぎると感じるでしょう。

もちろん、手数料が高い代わりに運用方針が独特であるなどのメリットもあるのは確かですが、それを差し引いてもコストが掛かりすぎてパフォーマンスが悪くなると考えている人は多いようでした。

キャピタル世界株式ファンドの特徴

これまで紹介してきた内容を踏まえて、キャピタル世界株式ファンドの特徴をメリットとデメリットの2つに分けて紹介します。

メリット3選

キャピタル世界株式ファンドを購入する主なメリットは、次の3つ。

  • 歴史ある会社で信用がある
  • 調査力が高い
  • パフォーマンスが高い

キャピタル世界株式ファンドは、キャピタル・グループという創業90年以上の歴史ある会社が運用するファンドです。同グループは株式指数を開発するなど業界に与えた影響も大きく、信頼性は高いと言えるでしょう。

キャピタル世界株式ファンドの信頼性は、徹底的な調査を行う方針によっても保証されています。企業面談を通じてファンダメンタルズ分析を徹底し、短期的な利益よりも長期的な成長性を重視。安定した成果を得られる戦略を立てています。

実際、キャピタル世界株式ファンドは高いパフォーマンスを実現しており、ここ10年間でのリターンは200%超。実績を見れば十分優秀な投資信託だと評価できます。

デメリット3選

一方で、キャピタル世界株式ファンドの主なデメリットは次の3つ。

  • 手数料が高い
  • NISAのつみたて投資枠で買えない
  • 長期投資に強い同種の商品がある

キャピタル世界株式ファンドはアクティブファンドで、手数料がインデックスファンドよりも高いです。信託報酬と買付手数料を合わせると5%にも上り、これがパフォーマンスを悪くしている可能性があります。

買付手数料が高いことから、NISAのつみたて投資枠でも購入できません。毎月の給料からコツコツ投資していくスタイルで、長期的に資産運用したい人にはおすすめできません。

そもそも、キャピタル世界株式ファンドには「DC年金つみたて専用」という、NISAのつみたて投資枠でも購入できる長期積立投資向けの商品があります。パフォーマンスもDC年金つみたて専用の方が優れているため、今から長期投資を始めるならこちらの方が良いかもしれません。

キャピタル世界株式ファンドを比較

キャピタル世界株式ファンドは全世界の株式に投資するアクティブファンドですが、似たような運用方針の投資信託は他にも存在。ここでは、その他のファンドと比較したうえで、強みや弱みを探ります。

eMAXIS Slim全世界株式

eMAXIS Slim全世界株式」は通称”オルカン”と呼ばれ、NISAのつみたて投資でも大人気の銘柄。2つのファンドを比較すると以下の通り(2024年12月2日時点)。

eMAXIS Slim全世界株式キャピタル世界株式ファンド
運用会社三菱UFJアセットマネジメントキャピタル・インターナショナル株式会社
ファンドタイプインデックスファンドアクティブファンド
設定日2018年10月31日2007年10月29日
手数料信託報酬:年率0.05775%信託報酬:年率1.701%
販売手数料:3.30%
決算日4月25日8月20日
純資産総額4兆7247億2900万円7590億4000万円
NISA対応成長投資枠
つみたて投資枠
成長投資枠
資産クラス世界各国の株式世界各国の株式
日本短期債券

eMAXIS Slim全世界株式は、各種インデックスマザーファンドに投資し、マザーファンドが世界中の株式に投資する方式。ETFを経由していないためか、信託報酬は0.05775%と最安レベルになっています。

2024年7月時点での組入上位銘柄を見ると、GAFAMを筆頭に米国株がほとんど。それ以外の地域では、「台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング」が8位に入っているくらい。

また、ヘルスケア関連企業の割合がキャピタル世界株式ファンドよりも少なくなっています。気になるパフォーマンスを比較すると、以下の通り(2024年12月2日時点)。

期間eMAXIS Slim全世界株式キャピタル世界株式ファンド
3ヶ月+6.69%+4.70% 
6ヶ月+5.60%+3.46% 
1年+28.82%+24.60%
3年+66.98%+43.06%
5年+135.03%+128.43% 

どの期間で見ても、eMAXIS Slim全世界株式の方がパフォーマンスが優れているという結果に。5年の期間でみると差は縮まっているとはいえ、ここまで違いがあると単に手数料の差だけが原因ではないようにも思われます。

NISAへの対応についてもeMAXIS Slimは優れており、つみたて投資枠と成長投資枠のどちらでも利用できます。長期積立投資をするならeMAXIS Slim全世界株式の方がおすすめです。

パフォーマンスや手数料の高さを見るとeMAXIS Slim一択のように見えますが、インデックスファンドは指標が悪くなった時もそれに沿うように運用するのが基本。今後起こるかもしれない不況時には、キャピタル世界株式ファンドの方が優れたパフォーマンスを残すかもしれません。

SBI・全世界株式インデックス・ファンド

SBI・全世界株式インデックス・ファンド」は、SBIアセットマネジメント株式会社が運用する投資信託。2つのファンドを比較すると以下の通り(2024年12月2日時点)。

SBI・全世界株式インデックス・ファンドキャピタル世界株式ファンド
運用会社SBIアセットマネジメント株式会社キャピタル・インターナショナル株式会社
ファンドタイプインデックスファンドアクティブファンド
設定日2017年12月6日2007年10月29日
手数料信託報酬:年率0.1022%信託報酬:年率1.701%
販売手数料:3.30%
決算日11月12日8月20日
純資産総額2386億9000万円7590億4000万円
NISA対応成長投資枠
つみたて投資枠
成長投資枠
資産クラス米国株式
米国除く先進国株式
新興国株式
世界各国の株式
日本短期債券

SBI・全世界株式インデックス・ファンドはその名の通りインデックスファンドで、FTSEインデックスがベンチマーク。このインデックスは小型株も含んでいるのが特徴で、MSCIよりも世界の時価総額を反映していると言われています。

バンガードとSPDRのETFが投資対象となっており、これらを通じて世界中の株式に投資。具体的な銘柄の投資比率は目論見書に記載されていないものの、米国株で運用される「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」の比率が6割弱と多いです。

2つのファンドのリターンを比較すると以下の通り(2024年12月2日時点)。

期間SBI・全世界株式インデックス・ファンドキャピタル世界株式ファンド
3ヶ月+6.65%+4.70% 
6ヶ月+6.18%+3.46% 
1年+27.45%+24.60%
3年+65.25%+43.06%
5年+128.83%+128.43% 

期間が短いほどSBIのパフォーマンスが良くなっていますが、5年で見ると両者のパフォーマンスはほとんど変わっていないことには注目。長期投資に強いキャピタル世界株式ファンドの特徴が表れています。

ただ、SBIは手数料が年率0.1022%と安く、NISAのつみたて投資枠にも対応。買付手数料も無料なため、コツコツ積立投資には向いている銘柄です。

楽天・全世界株式インデックス・ファンド

楽天・全世界株式インデックス・ファンド」は、楽天グループの「楽天投信投資顧問」が運営する投資信託。2つのファンドの比較結果は以下の通り(2024年12月2日時点)。

楽天・全世界株式インデックス・ファンドキャピタル世界株式ファンド
運用会社楽天投信投資顧問キャピタル・インターナショナル株式会社
ファンドタイプインデックスファンドアクティブファンド
設定日2017年9月29日2007年10月29日
手数料信託報酬:年率0.191%信託報酬:年率1.701%
販売手数料:3.30%
決算日7月15日8月20日
純資産総額5521億100万円7590億4000万円
NISA対応成長投資枠
つみたて投資枠
成長投資枠
資産クラス全世界株式世界各国の株式
日本短期債券

楽天・全世界株式インデックス・ファンドも、FTSEインデックスをベンチマークとするインデックスファンド。ただ、手数料が年率0.191%と、オルカンやSBIに比べて若干高くなっています。

投資対象は全てバンガード社のETF。全世界の株式に投資していますが、米国を除く世界の株式に投資する「インターナショナル・ストックETF」の割合が20%弱と少なめ。かなり米国株に寄ったポートフォリオになっていると思われます。

2つのファンドのリターンを比較すると、以下の通り(2024年12月2日時点)。

期間楽天・全世界株式インデックス・ファンドキャピタル世界株式ファンド
6ヶ月+6.02%+3.46% 
1年+27.27%+24.60%
3年+61.73%+43.06%
5年+131.17%+128.43% 

パフォーマンスはやはり楽天の方が上回っているという結果に。キャピタル世界株式ファンドは、少なくとも5年以内では、3つのインデックスファンドよりも悪い成績となってしまいました。

もちろん楽天はNISAのつみたて投資枠でも購入可能。長期積立投資をしたい人なら楽天の方がおすすめです。

【まとめ】キャピタル世界株式ファンドはやめたほうがいいのか?

キャピタル世界株式ファンドはインデックスファンドに比べると手数料が高く、パフォーマンスもそれほど良くはありません。NISAのつみたて投資枠にも対応しておらず、コツコツ長期積立投資をしたいならやめた方が良いでしょう。

一方で、徹底したファンダメンタルズ分析でポートフォリオを構成するスタイルは、指標をなぞるインデックスファンドに比べて柔軟な対応が可能です。相場変動のリスクに強い安定した運用が期待できます。

積立投資には向かないキャピタル世界株式ファンドですが、1度に多く購入して長期的に保有する分にはアリかと。NISAの成長投資枠を使い切れないと悩んでいる人は、選択肢の1つとして検討してみてはどうでしょうか?

公式サイトを見る

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